「おでこが広い男性は、はげやすい」という話はよく耳にしますが、これは必ずしも医学的に正確な表現ではありません。おでこの広さ自体が、直接的に薄毛(はげる)の原因になるわけではないのです。おでこの広さには、骨格や顔のパーツの配置など、生まれ持った個人差が大きく影響します。幼い頃からおでこが広い人もいれば、成長とともにおでこが目立ってくる人もいます。一方で、男性の薄毛の最も一般的な原因であるAGA(男性型脱毛症)は、遺伝的要因と男性ホルモンの影響によって引き起こされます。AGAが進行すると、生え際、特におでこのM字部分や頭頂部から薄毛が始まります。このため、元々おでこが広い人がAGAを発症すると、生え際がさらに後退し、結果として「おでこが広い人ははげやすい」という印象につながることが考えられます。つまり、おでこが広いこととAGAの発症しやすさに直接的な因果関係があるわけではなく、「AGAが進行するとおでこがより広く見えるようになり、薄毛が目立ちやすい」というのが実情に近いと言えるでしょう。重要なのは、おでこの広さそのものではなく、「以前と比べておでこが広くなったか(生え際が後退したか)」という変化です。もし、数年前の写真と比べて明らかに生え際が後退していたり、抜け毛が増えたり、髪質が細くなったりしている場合は、AGAが進行している可能性があります。このような場合は、おでこが元々広いかどうかにかかわらず、専門医に相談することを検討すべきです。医師は、薄毛の原因を正確に診断し、適切なアドバイスや治療法を提案してくれます。おでこが広いからといって過度に悲観的になる必要はありませんが、薄毛の兆候を見逃さず、早期に対処することが大切です。