「最近、抜け毛が増えた」「髪のボリュームが減った気がする」など、薄毛の兆候を感じた女性がFAGA（Female Androgenetic Alopecia）の可能性を疑った場合、自己判断せずに皮膚科や女性の薄毛治療を専門とするクリニックを受診し、医師による正確な診断を受けることが非常に重要です。FAGAの診断は、主に問診、視診、そして必要に応じて各種検査を組み合わせて行われます。まず、「問診」では、薄毛が気になり始めた時期、進行の程度、家族歴（特に母親や祖母の薄毛の有無）、生活習慣（食事、睡眠、ストレスなど）、既往歴、服用中の薬剤、出産経験や月経周期などについて詳しく聞き取りが行われます。これらの情報は、薄毛の原因を特定し、他の脱毛症との鑑別を行う上で非常に重要です。次に、「視診」では、医師が頭皮や毛髪の状態を直接観察します。薄毛の範囲やパターン（びまん性か局所性か）、分け目の状態、髪の毛の太さや密度、頭皮の色や炎症の有無などを確認します。ダーモスコピー（マイクロスコープ）という特殊な拡大鏡を用いて、毛穴の状態や毛髪の太さなどをより詳細に観察することもあります。これにより、FAGAに特徴的な軟毛化（髪の毛が細く短くなること）の有無などを確認できます。必要に応じて、「血液検査」が行われることもあります。これは、甲状腺機能異常や鉄欠乏性貧血など、他の脱毛症の原因となり得る内科的疾患の可能性を除外するためです。また、ホルモンバランスの乱れが疑われる場合には、男性ホルモンや女性ホルモンの値を測定することもあります。これらの問診、視診、検査結果を総合的に判断し、医師はFAGAであるかどうか、またその進行度などを診断します。正確な診断に基づいて、個々の患者さんに合った適切な治療方針が立てられることになります。不安な症状があれば、まずは専門医に相談することから始めましょう。