様々な「はげ対策」を試みても、なかなか満足のいく効果が得られない、あるいはもっと根本的な解決を望む場合、「自毛植毛」という選択肢が視野に入ってきます。自毛植毛は、AGA(男性型脱毛症)の影響を受けにくい後頭部や側頭部の自分の毛髪を、薄毛が気になる部分に移植する外科的な手術です。ここでは、自毛植毛の特徴、メリット・デメリットについて解説します。自毛植毛の最大のメリットは、「自分の毛髪なので拒絶反応の心配が少なく、生着すれば半永久的に生え続ける」という点です。移植された毛髪は、元の部位の性質(AGAの影響を受けにくい)を保ったまま成長するため、移植後に再び薄くなるリスクは低いとされています。薬剤による治療のように、継続的な薬の服用や塗布が必要ないため、長期的な手間や副作用の心配が軽減されるという利点もあります。また、自分の髪なので、見た目や手触りが非常に自然であり、パーマやカラーリングも可能です。自毛植毛の主な手法には、メスを使って頭皮の一部を帯状に切り取り、それを株分けして移植する「FUT法(ストリップ法)」と、専用のパンチを使って毛根ごと一本一本採取し、移植する「FUE法(くり抜き法)」があります。FUE法は、傷跡が目立ちにくいというメリットがありますが、手間がかかるため費用が高くなる傾向があります。どちらの手法が良いかは、個人の状態や希望によって異なります。一方で、自毛植毛にはデメリットや注意点も存在します。まず、「費用が高額である」という点が挙げられます。移植する本数やクリニックによって異なりますが、一般的に数十万円から数百万円単位の費用がかかります。健康保険は適用されない自由診療となります。次に、「外科的な手術であるため、ダウンタイムやリスクが伴う」ことです。手術後には、腫れや痛み、かさぶたなどができることがあります。また、感染症のリスクもゼロではありません。手術当日はもちろん、術後数日間は安静にする必要があります。