ケトコナゾールは、抗真菌薬として、内服薬(錠剤)と外用薬(クリーム、ローション、シャンプーなど)の二つの剤形で存在します。これらは同じ有効成分を含んでいますが、使用目的や効果の現れ方、副作用のリスクなどが異なります。まず、ケトコナゾールの内服薬は、体内に吸収されて血流に乗り、全身の真菌感染症に対して効果を発揮します。かつては、深在性真菌症(内臓などの真菌感染症)や、外用薬では治療が難しい広範囲の皮膚真菌症などに用いられていました。しかし、ケトコナゾール内服薬は、肝機能障害や他の薬剤との相互作用といった副作用のリスクが比較的高いことが知られています。そのため、現在では、より安全性の高い他の抗真菌薬が開発されたこともあり、その使用は限定的になっています。特に、重篤な肝障害のリスクから、安易な使用は避けられる傾向にあります。一方、ケトコナゾールの外用薬は、皮膚や頭皮など、局所的な真菌感染症の治療に用いられます。クリームやローションは、水虫(白癬)やカンジダ症、脂漏性皮膚炎などの患部に直接塗布して使用します。シャンプーは、主に頭皮の脂漏性皮膚炎やフケ、かゆみの治療に用いられます。外用薬のメリットは、有効成分が患部に直接作用するため、効果が期待しやすく、また、全身への吸収が少ないため、内服薬に比べて全身性の副作用のリスクが低いことです。ただし、塗布部位にかぶれや刺激感といった局所的な副作用が現れる可能性はあります。このように、ケトコナゾールの内服薬と外用薬は、それぞれ特性が異なります。どちらの剤形が適切かは、疾患の種類や重症度、患者さんの状態などを考慮して医師が判断します。自己判断で剤形を選んだり、使用方法を変更したりすることは絶対に避け、必ず医師の指示に従って使用するようにしましょう。