女性のための薄毛対策法

2021年9月
  • FAGAの主な原因とメカニズム

    AGA

    女性の薄毛であるFAGA(Female Androgenetic Alopecia)の発症には、いくつかの要因が複雑に絡み合っていると考えられています。その中でも主な原因とされるのが、「男性ホルモンの影響」と「遺伝的素因」、そして「加齢」です。まず、男性ホルモン(アンドロゲン)の影響についてです。女性の体内にも副腎や卵巣で男性ホルモンが少量ながら生成されており、これがFAGAの発症に関与しています。男性ホルモンの一種であるテストステロンが、毛包に存在する5αリダクターゼという酵素によって、より強力なジヒドロテストステロン(DHT)に変換されます。このDHTが毛乳頭細胞にあるアンドロゲン受容体と結合すると、毛母細胞の増殖が抑制され、髪の毛の成長期が短縮されます。その結果、髪の毛は太く長く成長する前に抜け落ちてしまい、細く短い毛(軟毛)が増え、全体的に薄毛が進行していくのです。次に、遺伝的素因もFAGAの発症に大きく関わっています。5αリダクターゼの活性の強さや、アンドロゲン受容体の感受性の高さは遺伝によって左右されるため、家族(特に母親や祖母)に薄毛の方がいる場合、FAGAを発症するリスクが高まると言われています。そして、加齢も無視できない要因です。年齢を重ねるとともに、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が減少し、特に閉経期を迎えると急激に低下します。エストロゲンには、髪の毛の成長を促進し、ヘアサイクルを正常に保つ働きがあるため、その減少は相対的に男性ホルモンの影響を強め、FAGAの症状を顕著にする可能性があります。これらの主要な原因に加えて、生活習慣の乱れ(不規則な食生活、睡眠不足、運動不足)、過度なストレス、間違ったヘアケア、喫煙、一部の薬剤の副作用なども、FAGAの発症や進行を助長する要因となり得ます。これらのメカニズムを理解することが、FAGAの適切な対策を講じるための第一歩となります。

  • 専門医に相談ストレス薄毛の治療

    薄毛

    セルフケアだけではストレス性の薄毛の改善が見られない場合や、症状が急速に進行している場合、あるいは原因が特定できず不安な場合は、自己判断せずに皮膚科や薄毛治療を専門とするクリニックを受診し、医師の診断と適切なアドバイスを受けることが非常に重要です。専門医は、まず問診や視診、場合によっては血液検査や頭皮のマイクロスコープ検査などを行い、薄毛の原因を特定します。ストレスが主な原因であると診断された場合でも、他の要因(遺伝、ホルモンバランス、生活習慣など)が複合的に関わっている可能性も考慮し、総合的な治療方針を立ててくれます。治療法としては、まずストレスの原因を特定し、それに対するカウンセリングや生活指導が行われることがあります。ストレスマネジメントの方法を学ぶことも治療の一環です。薬物療法としては、ミノキシジル外用薬(血行促進、毛母細胞活性化)や、男性の場合はフィナステリド・デュタステリド内服薬(AGAの原因となるDHTの生成抑制)などが処方されることがあります。女性の薄毛に対しては、パントガールなどのサプリメントや、ホルモンバランスを整える治療が検討されることもあります。また、クリニックによっては、成長因子を頭皮に直接注入するメソセラピーや、低出力レーザー治療、自毛植毛といったより専門的な治療法も提供されています。これらの治療法は、個々の症状や進行度、予算などを考慮して、医師と相談しながら決定していくことになります。専門医に相談するメリットは、正確な診断に基づいて最適な治療法を選択できること、そして何よりも精神的な安心感を得られることです。薄毛の悩みは一人で抱え込まず、専門家の力を借りることで、より効果的かつ早期の改善が期待できます。まずは勇気を出して、専門医の扉を叩いてみましょう。